会社の不当な権限行使に対する少数株主の訴訟権

昨今、OgierケイマンチームのGemma BellfieldとCorey Byrneは、Tom Lowe KCとウィルバーフォース・チェンバースのTara Taylorと共に、Tianrui (International) Holding Companyを代理して、会社法および株主権にかかる重要な問題を決定するために枢密院司法委員会で開かれた上訴審尋に参加しました。

China Shanshui Cement Group Limited（「CSCG」）は、中華人民共和国のセメント製造業者です。Tianrui (International) Holding Company （「Tianrui」）は、CSCGの4大株主の一角を占めていました。本件の紛争は、CSCGの支配権を巡る戦いから生じています。Tianruiは、CSCGによる他の2つの主要株主の関連会社または関係会社に対する社債の発行および株式の割当てが、Tianruiの株式持分の希薄化またはCSCGの支配権を獲得する目的でなされたものであると主張しました。

Tianruiは、CSCGを相手に、次の宣言を求める訴訟手続を開始しました：(a)社債権者は2つの主要株主の関連会社であること、ならびに、(b) 社債の発行および株式の割当ては不適切なCSCGの権限行使であったこと。これに対し、CSCGは、訴訟の却下を求める命令の申立てを提出しました。

一審で、Segal裁判官は、英国およびオーストラリアの判例に基づいて形成された法原理に従い、Tianruiが訴訟を提起する立場を有していると判断しました。しかし、Segal裁判官の判断は、ケイマン諸島控訴裁判所によって覆されました。控訴裁判所は、Tianruiの訴えが信認義務違反の申立てを含んでいるため、大法院規則の命令第15条・規則第12A条に基づいてCSCGを代表して株主代表訴訟として提起されるべきであったと判断しました。

2024年3月12日および13日の審尋において、枢密院は、いくつかの重要な会社法上の論点にかかる主張を検討しました：

1. 会社の取締役が不当な目的で株式を割り当てる場合、原則的に信認違反にあたること。しかしながら、会社による権力の不適切な使用を防ぐための宣言および/または差し止めを求める手続を（株主代表訴訟としてではなく、固有の権利として）会社の株主が訴訟手続を開始することができるかどうかという点。
2. 仮に株主がそのような請求権を有する場合、あらゆる会社株主が当該請求を行うことができるのか、それとも不当な権限行使による影響を受けた特定の株主に限られるのかという点。
3. 不当な権限行使がが株主総会承認により「治癒」されうるか、また、そうである場合、どの程度まで治癒されうるかという点。
4. 不当な会社権限の行使の効果として、当初からその会社の行為が無効と扱われるのか、それとも単に取消の対象となるのかという点。

枢密院の判決は、少数株主と取締役の双方にとって重要な決定となるでしょう。

枢密院は判断を保留しています。

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